ピアノレッスン
「亜澄」

応接間から出ると、不意に名前を呼ばれた。

振り向くと、お兄ちゃんが梨花さんと一緒に歩いてくる。

「伸也」

「・・・うまくいったみたいだね」

お兄ちゃんは、ふふと笑った。

「まあな」

「え?え?」

私と梨花さんはお互いに自分の相手を見る。

何?

お兄ちゃんはこうなることもすべて知ってたってこと?

「もう~~心配してたの~亜澄ちゃんのこと」

梨花さんは泣きそうな顔で私に抱きついてきた。

ふわりとお花の香りがする。




・・・優しい人。


私は思わず頬を緩ませた。



お兄ちゃんのお嫁さんが梨花さんでよかった。

素直にそう思えた。
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