彼女志願!

クッションの上で硬直している私に、少しずつ近づいてくる穂積さん。


衣擦れの音が、やけに耳に響く。



「ですが……もし。あなたが見ている『僕』が本当の『俺』ではないとしたら……どうしますか?」



じわじわと空気が変わっていく。



「それでもあなたは俺の『彼女』になりたいんですか?」





固いつぼみがゆっくりと解かれていく。


甘く、ほのかに――



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