彼女志願!
「で、でも、だって……!」
「――」
「いいんですか……?」
「――」
じっと穂積さんの目を覗き込む。
すると穂積さんは、一瞬困ったように目を逸らしてしまった。
「なにかあったから、連絡できなかったたんですよね? ただの気まぐれで私を心配させたわけじゃないでしょう?」
「当たり前でしょう。以前の僕とは違います」
なんだか聞き捨てならないことを言いながらも、穂積さんは私が乱してしまった黒髪に指を入れ、さらり、とすく。
「この島に来てからこの方、人一人の歴史を一からひも解く作業に追われていたわけです」
「おばあ様のことですよね?」