彼女志願!

「そりゃ、知りたいって思うけどさ……でもいいの。穂積さん、苦しんでるみたいだったし。まだ彼の中で消化しきれてないみたいだから、追い詰めたくないの」

「モエ……」



村の外れでつつましやかに暮らしていたユズさんは、おじいさんの愛人だった。


けれどおじいさんの奥さんであるおばあさんの死に際して、遺産を三分の一貰えることになった。


おばあさんは、自分の孫みたいな年のおじいさんの愛人に、どうして遺産の三分の一を残すような遺言をしたのか。


確かに、アキのいうように気になるし、ひっかかる部分もある。



「けどさ、私はなにより穂積さんが、当主の権限的なものはもらちゃったけど、とりあえず帰ってきてくれたから……それで十分」

「――そっかぁ……」



アキはまだ多少消化不良、という顔をしていたけれど。


私の言葉に理解を示してくれたのか、それ以上追及はしてこなかった。



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