彼女志願!
私は、彼らが座った席のすぐそば、大きな観葉植物を間に挟んだ席にこっそりと腰を下ろし、彼らを見つめた。
私からは、向かい合って座る二人を見ることが出来る。
けれど二人からは植物も間にあることから死角になる、絶好の場所だった。
それから間もなくして、二人の前にコーヒーが置かれる。
念のため、オレンジジュースをこっそり注文し、トートバッグの中からアキの新刊を引っ張り出し、顔の前に広げた。
「――お久しぶりね」
ユズさん。
相変わらずきれいだ……。
彼女は近づく秋にふさわしい紬をおしゃれに着こなし、どこか影のある人形のようなお顔には、薄化粧を施している。
「そうでしたっけ」
そして穂積さんはいつものポーカーフェイスで、コーヒーカップを口元に運ぶ。