彼女志願!

穂積さんは非常に冷めた目で、ユズさんを見下ろす。



「あの島を恨んで、憎んで……確かに僕もそうだった。だから僕たちは、寄り添うように他なかった」

「そうよ、だから――」

「ですがそこには何もなかった」

「――!」

「僕たちの間には何もなかったんですよ」

「そんな……っ……」



どこか幼子に言い聞かせるような穂積さんの声に、ユズさんは明らかに顔を赤くし、苛立っている。


けれどユズさんは言葉を失ったまま、一言も発することができない。


きっと――あくまでも私の推測だけど

ユズさんは穂積さんの言った言葉が理解できているんだろう。
(例え理解したくなくても)



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