歩み続ければ
蓮side
「は...るか..?」
俺の数十メートル先では信じられない事が起こっていた

遥が、中山に...

俺は反射という速さで遥のそばへ駆け寄った
そして状況を把握した
「れん...」
遥の顔には涙が流れていた



「俺の..遥に手ぇだしてんじゃねぇ..!」



気づけば俺は公園のベンチに座っていた
隣にはスヤスヤ寝ている遥

中山は猛ダッシュで逃げていった
案外弱かったのが俺の中ではショックだった

「ン..れ..ん」
遥は寝言で俺の名前を連呼する
それももう数十回目

なんで、遥は中山の事が好きなのに俺に助けを求めたりしたんだ..?
遥のあの時の顔...アレは恐怖から逃げようとする顔だった

「遥...」
俺は遥の髪を撫でた
久しぶりの感触
前はいつものように帰り道お互いたわいもない会話をして
最後には俺が遥の頭をぐしゃぐしゃになるまで撫でたっけ

「蓮...」
遥は満面の笑みで寝言を言う

「ハァ、本当..何回人の名前いえば済むんだよ」
その時俺は気恥ずかしいようななんともいえない気持ちにつつまれた

遥を振るメールを送ってから俺は最悪な人生を送った

---俺には遥が必要なんじゃないのか..


「遥、ごめんな」

気づけば俺遥に申し訳なく思って仕方がなかった

そして..

「ン..蓮..? 私...」
「中山に抱きつかれてた」
「っあ..そうだったね..蓮が助けてくれたの?」
「おう、でももう用は済んだから帰るわ」
ハァ...
なんでおれはいつもいつも素直になれないんだよ
本当は言いたかった「ごめんな」って「迷惑かけてごめんな」って
ものすごく言いたかった
けど
俺の心と体は矛盾していた

「じゃあな」
あきらめて俺はベンチから立ち上がり歩いていると


「...待って..!」
振り向けば遥が真剣なまなざしで俺を見つめてきた

「蓮、私中山君の事どうも思ってないよ? 蓮には彼女がいるけど、私は
 連のことあきらめないんだからね..!」
彼女??..あきらめない??

俺には遥の言っている事がさっぱり分からなかった
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