歩み続ければ
新side
「柚....」

朝から俺は不安気味
だって...昨日、柚からの電話

いつもより少しトーンの下がった電話

内容も心配だった..

「明日話したいことがあるから図書館で..」
まさかの別れ話だったりして...

え、待てよ
まだ俺ら付き合って3日だぞ!?

マジかよ...


そんなことを思いながらもオシャレには気を抜かないぜ、俺は

そうして、振られる覚悟で母さんと里香に「いってきます」と言う

2人は「いってらっしゃーい」とまるで俺を元気づけるかのように言う


「あー、景色はモノクロか!?」

気分は下がり気味..怖い..男なのによぉ



図書館へ行くと、見慣れた後姿
俺をドキっとさせる後姿があった


絶対それは柚だ

もう、この後姿は俺にとって特別なものではないと思うと不覚にも悲しくなる

「よ..よぉ!!」
明るく振舞う
声をかけるとその後姿は反転し、柚の顔がしっかりとこちらに向けられた

「はよ!!」

挨拶をしてもオドオドした様子の柚

わかってるから...最期くらい笑えよ

「た、立っているのもなんだし座らねえ?」

「..うん」

ホラ、トーン下がってる..

そうして、俺らの雰囲気とは真逆なオレンジ色のイスへ腰をかけた


「で..で、話しって?」

声が震えている..俺ってカッコわるっ

「...」

柚は無表情のまま固まっていた

「柚...?」

そして数秒後の沈黙

「あのね..!」

最初に口を開いたのは柚だった


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