ふたつ星
「あっそ。せっかくチャンスをあげたのにバカな女」
真莉奈はフンと鼻で笑うと、手で合図を出した。
その瞬間、バケツの水が私めがけて飛んでくる。
ギュッと目を瞑ってすぐ、水の勢いの衝撃と冷たさが私を襲った。
頭の上から足先までビショビショになった私を見てクラス中が笑う。
「可哀想な人達……」
誰にも聞こえないくらいの声で呟き自分に言い聞かせる。
この人達は可哀想な人間なんだって……。
そして、ゆっくりと立ち上がった私は教室を出て、学校を後にした。
よろよろと歩く私の耳の奥に笑い声がこだまする。
あの、嫌な笑い声が……。