ふたつ星


息を切らしながら翔さんの家の前まで来ると、チャイムを押す。



――ピンポーン



返事が無い。



何度も何度もチャイムを押すけれど、虚しくチャイム音が響くだけ。



翔さんが出てくる気配は無い。




私はポケットから合カギを取りだすとかじかんだ手で鍵を回した。



部屋の中に入って、真っ直ぐにリビングへ向かう。



「翔さん、いますか……?」



そこに翔さんの姿は無い。



部屋中のどこを探しても翔さんはいなかった。



買い物に行っているだけかもしれないと、少し部屋の中で待ってみたけれど、一向に帰って来そうになかった。



私は慌てて携帯を取りだした。



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