スイートルームの許婚
愛斗の鍵と私の鍵穴がピッタリと合わさった。



カチャと私の心の扉が開いてゆく。



愛斗は組んでいた足を元に戻して、私を腕の中に引き込んでゆく。



互いに感じる温もり。
もっと、愛斗の温もりを感じたくて、身体は疼き始める。


「由可奈のキモチを訊きたい」


「・・・」


「どうした?」


愛斗は私の後頭部に右手を回して、更に顔を近づける。


愛斗の吐息が私の頬にあたる。


触れそうで触れない互いの唇。






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