スイートルームの許婚
栗原さんがエレベーターのボタンを操作して、支配人室のある10階を目指す。



「愛斗の様子は?」



「別に…毎日、仕事に追われてますよ…。浮気なんて全然する時間もないほどに」



「そう」
素っ気ない返事でしたけど、内心は安堵感で満たされた。



『イケメン支配人のいる老舗ホテル』と言う見出しで、この間ファション雑誌で紹介されていた。


彼女の私としては気が気でない。


「雑誌の影響は大きいですね…」


「そうなんだ・・・」


「小早川目当てに若い女の子達が毎日、来るから…。まあーこれくらい活気がないと…従業員たちのモチベーションも上がらない」


栗原さんがまるで支配人みたいな言動。


「到着しましたよ」


「ありがとう~」








< 220 / 289 >

この作品をシェア

pagetop