スイートルームの許婚
「なんの用?」



「別に…」
俺も大人げなく、少しムカッとした。


既に姉貴が婿養子を貰って、ホテルを継ぐコトになっていた。

俺は龍咲社長じきじきに、わがままお嬢の婿養子にと頭を下げられていた。


一応…許婚関係と言うか…



当の由可奈は多分、知らない。


俺は別に、由可奈と結婚していいと思っていた。

実は俺…由可奈に惚れていた…

ロリコンだって笑いたければ笑えばいい。


今は可愛げないけど…

昔は可愛くて、俺の背中を金魚のフンみたいについて回っていた。
今は思春期だし、人が誰でも通る道で情緒が不安定になっているだけ。



「俺は邪魔みたいだし…出るよ」



「待って…」


由可奈は俺の右腕を掴んだ。



「!?」


「…お父様から聞いた…愛斗が私の許婚だって」







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