手を伸ばせば、届く距離まで。



…え。


「違うんなら良いんだ。けど…正直に、答えてほしい」


…待て。頭が、混乱してきた。


握りしめたリュックが、ぎち、と音をたてる。


「…一番華織のそばにいたのに、好きじゃないわけ、ないと思うんだ」


ぽつ、ぽつ。


言葉をつむぐ真樹は、どんな答えを待っているんだろう。


イエスか、ノーか。


俺の正直を、言うべきか?



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