手を伸ばせば、届く距離まで。



こんなに愛されてる華織さんから、圭を奪えるわけがない。


こんなに真樹が愛してる華織さんを、悲しませる訳にはいかない。


…あたしは


この想いを封じ込めるしかない。


お兄ちゃんは、『愛桜には良い人を選んで欲しいなあ』


と言っていた。


圭は良い人だよ。


あたしの手を引いて、迷子から助けてくれた。


けど、ダメなんだよね。


…諦めなきゃ。


ああでも―――。



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