手を伸ばせば、届く距離まで。



「真樹。…ごめん、ごめんなさい…」


華織さんの、張り詰めたような声だった。


真樹がスルリと動く気配。


見なくても分かる。抱き寄せたんでしょ…


「華織…俺、…どうしたらいいんだ?…何が何だか…」


パニックになった、真樹の言葉と泣き声。


ああ…あたしって、馬鹿だなあ…


どうして、いつも誰かの足を引っ張ってばかりなんだろ。



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