手を伸ばせば、届く距離まで。



――――――



「ごめんね、わざわざ」


礼儀などは、母親から厳しく言い伝っている華織。


ご丁寧にオジキをした。


俺はそれの返し方が分からなかったので、とりあえず礼を仕返す。


「また、何かあったら」


「…うん。ありがとう、夕飯おいしかったよ」


照れるな、なんか。


服の裾を握りしめ、少し考えてから


「それじゃあ…」


「うん。じゃあね」


帰り道へ、足を運んだ。



< 71 / 557 >

この作品をシェア

pagetop