手を伸ばせば、届く距離まで。



そんなことを言いながら出ていかないのは、住む家がないから。


俺がいれば、働き出したとき楽だとか思ってるんだろう。


…出ていって欲しい。


そうすれば、悩むことも何もないはずなのに。


「…ちょっと。ドコ行くの」


「今日は帰らねえから」


「ハァっ!?」


いらない。


俺の手のなかには、華織さえ居てくれればいい。


俺は、それで―――。



【真樹Side終幕】

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