生まれ変わってもキミが好き【完結】


「……どうして、あたしを教科係にしたの? 本当にしごきたいから?」




まさかここで、好きですなんて言えないから。

なんとなく気になってたことを聞いてみた。


日下先生は、いたずらっぽく笑う。




「ああ、あれは冗談だ。まあ、いわゆるひいきってやつだな」


「ひ、ひいき?」


「始業式の時、熱があるのに俺が気付けなかったから、おまえは2回も倒れることになっただろ? 悪かったな。
プリント回収頼んだのも、これが言いたかったからだ」




なにそれ。

なにその優しい先生全開のセリフ。


やめてよ、調子狂っちゃうよ。




「そんなの……先生は、全然悪くないじゃん」


「気にすんな。授業遅れた分も、わからないところは教えるから、なんでも聞いてくれ。遠慮すんなよ」




優しげな、気遣うような笑顔を向けられて、切なくなる。


教師って感じの、大きな年の差を感じる表情だったから。



『るいち』は、あたしにそんな風に他人行儀には笑わなかった。



そんな胸の痛みはこらえて、あたしは曖昧に笑った。

< 87 / 372 >

この作品をシェア

pagetop