私と彼の一週間
第二夜

同居人との距離

「・・・・・・ん・・・」



朝起きると、部屋は薄暗かった。



「・・・・雨・・・・・」


外からは、眩しいくらいに差し込む太陽の陽はなく、雨の音しかしない。



「・・・・・仕事・・・」


身体を起こし、リビングに。
リビングも真っ暗だった。
誰もいないかのように静まり返っていて、やっぱり雨の音しかしなかった。



「・・・颯人・・・・?」



床で寝てるはずの颯人に声をかける。

・・・・しかし、返事は返ってこなかった。
見ると、颯人の姿もなくたたまれた布団だけ。


・・・・まだ、1日しか経ってないのに。
契約は1週間なのに。
どうして・・・・・・・



「いなくなるのよ・・・・・」




・・・・・気にしちゃダメ。
これが1週間後の光景なんだ。
それをちょっと早く見てるだけ。
2日前に戻ったと思えばいいだけ。


・・・・・そう、自分に言い聞かせて仕事に行く準備を始める。



「・・・・ご飯・・・」



昨日炊いたご飯。


「・・・・・もったいないし・・・・」


仕方なく、おかずを作ることに。
・・・・・2人分。
もしかしたら、颯人が返ってくるかもしれない。
その時、また“お腹すいた”って言って、キッチンとかあさるかもしれない。


「・・・・・・よし」


また、目玉焼きを焼いて一皿はラップをかけてキッチンに置いておく。



「・・・・・行ってきます」
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