私と彼の一週間
この別荘は、颯人のお父様。秘書さんの言う、“旦那様”が秘書さんのお母様に買った別荘らしい。
その後も、ずっと秘書さんの話を聞いていた。
颯人と秘書さんとの育て方の違い。
颯人のお母様は、颯人と秘書さんが顔が似ていることから以前の“愛人の息子”ということに気付いた。
颯人はいい学校、ブランドの服、装飾品をさせてもらっていたが秘書の方は、物心ついたころから颯人のお世話役として働いていた。






「ある日、鈴斗は“外へ出たい”と思い始めました。
しかし、奥様がずっと鈴斗を外に出そうとはしなかった。
“外は危険なことが多いから”と。
外に出られる私を鈴斗は羨ましがっておられました」





確かに、企業が大きくなればそれだけ敵も増える。
暗殺だって、以前にあったと聞いたことがある。





「・・・・颯人が何も知らなかったのは・・・外に出たことがなかったから・・・」






「何も知らない鈴斗が初めて外に出たとき。
すべての物や景色が新鮮に見えたでしょう」





電車も水族館もあんなに楽しそうにしてたのはそれが理由・・・・・。
わざとらしくないのも納得がいく。





「・・・で、でも・・どうして私の家の前に・・・」






「・・・・鈴様が勤務していらっしゃる会社で一番信頼でき、最も信頼が厚い女性があなたでしたので」





「で、でも、私より上の人たちや・・・それに、別に男性でも・・・」




いくら私が信頼できると言っても、全然人付き合いなんか上手くない。



< 86 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop