私と彼の一週間
本当に大切な人
「・・・・・颯人・・・なの・・・?」






「・・・うん」




私の後ろには颯人がいた。


颯人が私のそばにいる。
颯人が私と一緒にいる。
颯人が私を抱き締めてる。






「・・・・あいつに聞いた?」





「・・・・・え?」





「・・・・・俺の過去」





「・・・うん
聞いたよ」




颯人がどうして、私に名前をつけさせたのか。
どうして一週間の契約だったのか。
きっと一週間だけでいいから、外の世界を見たかったんだ。
本やテレビでしか見たことがない世界を見てみたい。
颯人の唯一のわがまま。
お母さんが心配するから、最初から一週間経てば帰るつもりだったんだ。
“家出”したんじゃなくて、“冒険”だったんだ。
名前をつけさせたのは、一週間だけ“冒険者”になりたかったからだと私は思う。






「・・・・ごめんね
俺・・・・鈴ちゃんを騙した」





「ううん。
いいんだよ、颯人」
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