ホストーカー 【完】
女が見えなくなると、クルリと美麗ちゃんの方に向き直る。
思った通り、何時もよりも深い深い漆黒に瞳の色が染まっていた。
きっと、美麗ちゃんもあの女がアレを知っている事がなんとなく分かったのだろう。
「美麗、怖がらせてごめんな。」
「…うん。」
「前のと今のどっちが好き?」
何時もより、反応が薄いのもさっきの女の言葉が影響してるんだろう。
俺はなるべくさっきの事については触れない様にした。
「今は麗羅じゃないみたいで気持ち悪い。」
「前の俺が好きってこと!?」
「…はあ。」
「美麗ちゃん、大好きだ!」
何度も何度も、美麗ちゃんに話し掛けた。
返事が返って来なくても、無視されても。
「ふふ、麗羅って本当生粋の馬鹿ね。」
最後はこうやって、可愛い笑顔を見せてくれるから。