ホストーカー 【完】
ピンポーン。
インターホンが終わりの合図を告げる。
俺は美麗ちゃんを放して、ドアを開けた。
「おはようございます。」
美麗ちゃんのお父さんは、俺に一瞬目をやりすぐにその存在を否定する様に顔を前に向けると美麗ちゃんの居る部屋へと進んだ。
部屋から出ると、その手には美麗ちゃんの細い腕が捕まえていて、俺はその光景をただ見つめていることしか出来なかった。
「…こんな男に捕まって、お前も馬鹿な女になったもんだな。」
「ちょっと、離してよ!」
美麗ちゃんはその大きな手を外そうと、懸命に抵抗を見せた。
「…お前は俺の道具なんだ。」
「私はあんたなんかの道具じゃない!」
そして美麗ちゃんは玄関から見つめる俺に気付く。
「麗羅……!」
それは助けを呼ぶ声だった。
「美麗ちゃん、愛してるよ。…だから
幸せになって。」
誰よりも、幸せになって君が笑っていられますように。
「…ばいばい、美麗ちゃん。」