ホストーカー 【完】
フラフラとただ行く当てもなく、歩いた。
日が昇って、落ちて。
辺りはあっという間に暗くなってしまった。
「会いたいよ…」
つぶやいた言葉と同時に、何処からか花弁が舞い散って来た。
道路に落ちた花弁を手に掴むとそれは桜の花弁だった。
また、花弁がこちらに舞い降りる。
その花弁の跡を辿る様に歩いた。
そして着いた先は、懐かしい桜の木が一本あるだけの小さな公園だった。
そういえば、嫌なことがある度に抜け出してはここに来てたっけ。
子供にさえ人気のない小さな公園は、私のかつての居場所だった。
ましてや、こんな深夜人なんて居るはずが無い。
しかし、その予想とは裏腹に桜の木の前に人影が見えた。
照明に照らされて見えた横顔は静かに涙を流す麗羅だった。