inexpert―子供彼氏―




学校につくなり、陽太とゆいに遭遇してしまった。


なんてついてないの…私。





あからさまに溜め息をつくと、陽太がゆいに何か言ってゆいはどこかへ行った。


そして、何故か陽太が私の目の前にいる。




「桃嘉っ…その、昨日の事なんだけどさ…。」


「…なに?」


「その…えっと……」





陽太は、昔からこうだった。


自分が伝えたい事が
上手く言葉にできなくて
伝えられなくなって
そんな自分がもどかしくて
泣いてしまう。




あぁー……

陽太ってば、目に涙溜めてるし。






陽太が言いたいことは、何となくわかる。


ただ…聞きたくない。





「用がないなら、もう行く。」


「えっ…待って…、待って…、桃嘉ぁっ…!」





陽太に背を向けて廊下を歩く。



後ろから聞こえる陽太の声が、切なくて胸が苦しくなった。









.
< 5 / 15 >

この作品をシェア

pagetop