とある夢追人の物語
サウンドオブミュージック
学習発表会でサウンドオブミュージックをやる事になった。

あの有名なミュージカル。
低学年だからといってなめられないくらいの本格的なミュージカルを作ると言って、先生方の力の入れようはハンパなかった。


全シーンを区切って主役のマリア役は5人
大佐役も5人


私は、主役を一度やってみたかった。


その時は女優を目指していた。

演技と歌とダンスをやりたかったんだよね。

まさしくぴったりの役!

一番先に手を挙げ立候補した。

運良くやりたい人は少なくてあっさり決まったんだけど。


そして稽古なりなんなりあって、本番が近づいた。


本番と同じようにやる通し稽古をやった時

私は完璧にマリアになりきった。


台本には、セリフを言った後に"笑う"ってあって。なにも恥ずかしい事なく笑った。

その時先生方には誉められたけど
同じシーンの大佐役が凄く嫌な奴で


終わった後に


「ふふふだって!!本気でやんなよ気持ち悪い」って言われた。


間違ってる?

芝居で本気だして、間違えてるの?

間違えてないけどね。

でもその時は心に大きな穴が空いた。


ずっと練習が始まる度にからかわれて


みんなも笑ってるようにさえ見えた。


そしてステージに立てなくなった。
< 11 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop