ルビゴンの河の先





月は涙を見せないと雲の間に隠れる。


―――無償の母の愛。
ねぇ、竹中さん。
気づいていないなら教えてあげたいよ。この穏やかで優しい声も、月の輝きも全部全部。



「得月院さん。…私を、竹中さんに会わせてくれてありがとうございます」


私はそう言いながら月に向かって深く頭を下げる。
その瞬間、私の周りが淡く輝きだした。


まるで私を抱きしめているような光。たまらず泣き出してしまった私に、月は優しく語りかける。



『―――重虎に、…竹中半兵衛に、会いたいですか?』





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