ルビゴンの河の先
「お前は儂に尽くしすぎるぐらい尽くす。しかし、儂が死んだらどうなる?…大事なものは必ず一つである必要なんてないと儂は思うがなぁ」
「…秀吉公」
胸が熱い。
じわじわと、得も言われぬ感情がこみ上げてきてたまらなくなった。
私は改めて姿勢を正し、秀吉公に頭を垂れた。
「勿体なきお言葉にございます」
よいよい、と返されると同時に女中が宴の準備が完了したことを告げに来た。
俺は秀吉公の背中を見つめながら広間に向かう。
あとはあかりが目を覚ますのみ。
…早く声が聞きたい―――…