ルビゴンの河の先





そのまま抱き寄せて私の肩に頭を乗せると、首元に息がかかってくすぐったい。




…夢みたい。


私は目を閉じて半兵衛さんの体温を感じる。
もう二度と会えないと思っていた好きな人。こんな風に触れられるなんて夢にも思わなかったから。



「…幸せ」


半兵衛さんの腕の中でぽつりと呟くと、抱きしめる腕に力が入る。



「私もだ。…あかり、」


次の瞬間、唇が重なった。
慈しむような、愛でるようなキス。啄むように短く何回も近づいて離れるそれがもどかしくて焦れったかった。





< 133 / 144 >

この作品をシェア

pagetop