ルビゴンの河の先





―――数分後。


一番始めに正気を取り戻した半兵衛さんが咳払いをして話を切りだした。






「………官兵衛、一体何の用だったんだ?」


「いや、…目覚めたって聞いたから顔を拝みにと」


男二人はそう話して一斉にこちらを見る。
いきなりのことに私の肩は少し揺れたけど、二人ともそれを気にする風でもない。



「あかり殿、だったか?俺は半兵衛と同じく軍師の黒田官兵衛だ。気軽に官兵衛と呼んでくれ」


そう言って屈託なく笑う官兵衛さんに、私もぎこちなく笑う。
半兵衛さんが猫なら官兵衛さんは間違いなく大型犬だ、と私は思った。





< 136 / 144 >

この作品をシェア

pagetop