ルビゴンの河の先
「……………肺炎を起こしてて、発見がもっと遅かったら命に関わるところだったって」
一瞬言いよどんだ彼女だったが、意を決したようにそう言いきる。
「―――俺は、…」
死ぬのか。
最後まで言う前に、彼女の指が私の頬を滑る。
居心地が悪いと感じてしまうくらい柔らかい指。
甘えてしまいたくなる温かさに、俺は思わず目をつぶった。
「未来じゃね、このくらいの病なら治せるんですよ。…とりあえずゆっくり眠ってください」
心地よい囁きに俺のまぶたは逆らえない。
無防備に沈んでいく意識ですら心地よいと思えてしまった。