アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】
「わぁ……」
大理石が敷き詰められた広いバスルーム。
大きな八角形のバスタブはたっぷりのお湯を湛えている。
真っ先に髪を洗ってすっきりし、バスタブへ身を沈めた。
「あー気持ちいい」
こんな風にゆっくりするのはいつ以来だろう。
この後の事を考えると、少しの期待と不安で胸が一杯になる。
(何かあっても、まあいっか)
どうせ一夜限りなんだし。
もし何かあっても福岡なら遠いから面倒な事にもならないと思われたんだろう。
そうに違いない。
そこで私は苦笑した。
そんなことあるはずないか。
若くて綺麗な女性ならわかるけど、あんなに素敵な人が私なんか相手にするはずない。
本当に一人になりたくないだけなんだよね。
三神さんと一緒に過ごせるだけで夢心地なのに、こうやって思いがけずセレブ気分を味わえたし。
来て良かった。
こうして別の男性とホテルの一室にいるという事実に不思議と罪悪感はない。
だってこれは夢なのだから。