アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】
着信中の画面に表示されているのはあるキャラの名前。
(三神さん)
どうしよう。
でも、取れる時に掛かってきたのは初めてだし。
声、聴きたい。
『はい、もしもし』
一瞬、間があって『沙理?』と三神さんの声。
『こんにちは! あの、毎日ありがとうございます』
でも何も返事が無い。
『三神さん?』
『やっと』
『はい?』
『やっと声が聞けた』
何とか聞きとれるくらいの小さな声でそう言われた。
『全然掛けてくれないからさ』
『ごめんなさい。お忙しいと思って』
三神さんからの伝言やメールは殆ど深夜や早朝だったし、昼間は取れないだろうと思ってたから掛けなかったんだけど。
もしかして待っててくれたのかな。
『今から、テレビの収録なんだ』
三神さんは放送される日時を教えてくれた。
『わぁ! 早速録画予約しておきます!』
あははと笑う声に私も嬉しくなる。
『それじゃ、そろそろ時間だから切るね』
『はい。放送楽しみにしてますね』
うん、と言った後、三神さんは私が一番好きな声で囁いてくれた。
『愛してるよ、沙理』