愛を待つ桜
聡は額を壁に押し付け、血管が浮き出るほど拳を握り締める。
そのまま大きく息を吐き、2~3度深呼吸した。窓枠に身体を預け、衝動を抑えようと必死だ。


稔はそんな兄を横目で見ながら、ゴミ箱を元に戻した。

彼はそのまま匡の前に跪き、今度は弟を気遣った。


「大丈夫か? お前は父親になるんだ。しっかりしろよ」

「なんで……こんなことになるんだよ。俺がなんで」


匡のほうは殴られたことに納得が行くはずもなく。口の中で不満を漏らし続ける。



そこまで、黙って成り行きを見守っていた実光だったが……。
彼はベンチソファに腰掛けたまま、ついに、匡に対して事態の核心をつく質問をぶつけた。


「匡、正直に言いなさい。悠はお前の子供なのか?」


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