愛を待つ桜
どれほどの時間が経過したのだろう?
聡が顔を上げると、言葉を失くして立ち尽くす父や弟たちの姿が映った。


『なんで彼女を信じてやらなかったんだ』


その言葉が頭の中にいつまでも響いていた。

匡の言う通りだ。責任は自分にある。夏海を信じることができなかった。それが全てだった。


息を止め、歯を食いしばると、聡は立ち上がる。


「いいよ。もういい。父さんのせいでも、匡のせいでもない」


膝に手を当て、下を向いたまま、聡は不自然なほど感情を押し殺した声で続けた。


「夏海を……信じなかったのは俺だ。責任は俺にある。マンションに戻って話をつけてこよう。彼女が望むなら、離婚も受け入れる。悠の親権も諦めるつもりだ」

「聡……」

「悪いな、父さん。つくづく、結婚には縁がないらしい」


悲しげに微笑む長男に、実光は父親として掛ける言葉が見つからない。



だが――運命はここで聡を許してはくれなかった。


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