愛を待つ桜
中学2年生で13歳の悠だが、この辺も父親に似たのか既に身長は170cmを超えていた。

彼は身長を活かして座ったまま手を伸ばし、麦茶の容器を取ると、グラスに注ぎながら真に尋ねる。


「別に、挨拶なんかしてもしなくても平気だよ。どうせ、幼稚園の時から一緒の連中に取られたんだろ? 気にすんな」


真お気に入りの、仮面ライダーのプラカップにも麦茶を入れてやり、弟に手渡した。


「ううん。結人《ゆうと》くんでも大地《だいち》くんでもなくて、美月《みつき》ちゃん! 超可愛いんだぁ~。頭も良くて……僕、美月ちゃんと結婚したいな」

「誰だよ、それ。お前、幼稚園の恭子先生と結婚するって言ってなかったか?」


真は麦茶を飲み干すと、「美月ちゃんの隣になりたいなぁ~」妙な節をつけて歌いながら、悠の質問を軽く無視して走って行く。


「アイツはいいよな……悩みがなくて」


悠はリビングの窓から庭を眺め、桜の木の横に立つ大きな鯉のぼりを見ながら、深い溜息を吐いた。


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