愛を待つ桜
(でも、いくらなんでも5人目は作らないよな……母さんもう40代だし)


父にいたっては、すでに50代である。

若い頃は悠と同じで随分年上に見られてきたらしい。顔と経験が釣り合わなくて、女の子に酷いことを言われた経験もある、と男同士の会話で呟いていた。

それが何を意味するか、今の悠には何となくわかる。



「桜、兄さんは父さんたちを探してから、紫も一緒にふれあい広場に行ってるから。お前は真を連れて来いよ。場所は判るな?」

「うん、パンフがあるから大丈夫」

「迷子になったときは携帯で連絡しろよ。あ、携帯、忘れてないだろうな?」

「忘れてないよ。迷子になんてならないってば」


中2の桜も、もう立派に女性の体型をしている。

我が妹ながらクールで大人っぽい顔立ちをしていて、ナンパされることも度々あった。だが、中身はてんでお子様だ。しかも、凄まじい方向オンチのため、何度携帯でSOSを受けたか判らない。


「さ、紫。お兄ちゃんと一緒にパパとママを探そうな」

「はぁい」


紫を肩車して、遠くに見える馬の放牧場に向かって歩き始める悠だった。


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