ラブ・パニック【短編】
あたしが好きなのは柚木さんで−−
「別れようか」
思考を切り裂くように言われた言葉に、頭がついていかなかった。
考えがまとまらない。
「元々、里緒が好きなヤツと上手くいかなかったらって約束だったし、両思いなら、オレが身を引くべきだろ?」
「−−なに、それ。いつものオレ様で強引なところはどうしたのよ!? そんなふうにあっさりとひかないでよ」
なんで?
どうして、こんなこと言ってるの?
「いつものあんたらしく、あたしを引き止めてよ!」
まくし立てると、鞄に入れてた包みを東くんの顔に投げ付けた。
「わぁっ!」
咄嗟に受け止める、運動神経のいい彼。
ちょっとホッとした。
勢いで投げちゃったけど、あれが潰れるのは嫌だもの。
「これ、何?」
不思議そうな顔でピンク色のラッピングを開けた彼。
中からは白いケーキが出てきた。