ラブ・パニック【短編】
1日ドキドキして、いつ告白するかを考えてバイトして、そのまま告白できずに終わってしまったんだ。
作ったケーキはあたしのお腹に消えた。
意気地のない自分が嫌い。
だから、今度こそ−−……。
「いらっしゃいませー」
やっぱり告白するならバイトが終わってからだよね。
そう心に決めて、働き続けた。
「いらっしゃいませー」
見ると、珍しく女性一人客だった。
可愛いベージュのニットワンピースを着ていて、『あのワンピ欲しいな』なんてのんきに思っていた。
「舞!?」
後ろから響いたのは、振り向かなくても知っている柚木さんの声。
「柚くん」
彼女は小さい手を顔の横で振り、可愛らしい笑顔を見せた。