キャンバス

冬の波はなんて寂しくて、でも暖かく見えるのだろうか。

深く青く、そして白い波。
季節を通して、絶え間なく打ち寄せては返っていく。

繰り返される動作は同じように見えて、同じことはないのが、まるで生きている人間と同じではないかと考えてしまう。

そんなふうに見えるのも、今の私の心のせいだろうか。




「蒼先輩。身体壊しちゃいますよ」

ふと後ろから、同じ課の後輩に声をかけられた。

「え~そんなふうに見える?結構、大丈夫だけどな」

そう軽く、言いながら企画書を打ち込んでいたパソコンから目を話して後ろを振り向いてf答えた。

連日連夜、徹夜で仕事をしていたので、本音は確かにかなりきつい。自分自身でも、今日の化粧室でみた顔のひどさでまずいことは気づいていた。

彼から別れを告げられてから、タイミングよく入った企画の仕事に没頭して無茶な仕事をしていたのは否めない。

「先輩、顔かなり白いって気づいてます?」

そう言いながら、暖い紅茶を渡された。

「あまっ。コーヒーじゃないの?」

渡されたミルクティーを飲みながら

「コーヒーなんてダメです!先輩もともと白いけど、かなり病的な白さに今なっているってきづいてますか?」

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