ランデヴー
花火を、見よう。


今この一瞬は、何も考えずに楽しもう。


そう無理矢理思いながら、花火を見つめた。



それなのに。



「彼氏のこと、考えてたんですか?」


突然そう言われ、驚いて倉橋君の方へと顔を向ける。



静かに私を見つめるその顔が、時折花火の光を浴びて暗闇に美しく浮かび上がった。


そのゆらめく瞳を見ていられなくて、私は花火へと目を逸らす。



「違うよ……」


と、呟きを残して。



今年の花火大会は、後ろめたさが混じる苦い苦い思い出となった。
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