ランデヴー





私は倉橋君と花火を見に行くことを、最後まで陽介には言えなかった。



言う機会はあった。


あの課での飲み会の日から花火の日までに、1度陽介が家を訪れたから。



会社でキスをしたあの日以来、初めて2人で話せる機会だった。


私はもう2度と会社であんなことをしないで欲しいと、陽介に言い含めた。


陽介も倉橋君に見つかりそうになったことでかなり反省したらしく、もう2度としないと言ってくれた。



そもそも、陽介はそういう人だ。


後先考えずに行動を起こす人ではないし、私の嫌がることは決してしない。



それなのに、倉橋君の件では見境がなくなってしまうようだった。


それが私には少し、怖かった。



恐らく本当のことを告げれば、陽介は「行っておいで」と言っただろう。


自分の気持ちを飲み込んで。



でもそうやって陽介に無理をさせることが、果たして私達の関係にプラスになるのだろうか。


先の見えない関係でも、会っている時は幸せに浸っていたい。
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