ランデヴー
陽介と話したいと思ってもそう簡単にそんなチャンスが巡ってくるはずもなく、悶々とした気持ちを抱えながら長いだけのどうでもいいミーティングを終えた夕方。
会議室のある15Fからエレベーターに乗り、自部署のある8Fに着いた私の目の前を、陽介がふらりと通り過ぎるのが見えた。
「香川さん……!」
倉橋君も大地さんもいたけど、構わず私は声をかける。
静かに振り返る陽介に、私は一瞬息を呑んだ。
私を見て、一瞬険しい顔をしたのがわかったからだ。
ズキンと嫌な音を立てる心臓を落ち着けながら、私は咄嗟に口から出任せを並べ立てた。
「あの、この前言ってた商品の出荷スケジュールなんですけど……」
仕事の話を装い、陽介の方へと近付く。
カードキーをかざしてフロアへと戻る倉橋君と大地さんを見送り、私は人がいないのを確認すると、陽介の腕を取ってすぐ近くの非常口から外に出た。
その途端、むわっと夏の暑さが私達を包む。