ランデヴー
外階段に繋がるそこは吹きっさらしの踊り場で、細い路地を行き交う人々が眼下にポツポツと見えるだけだ。


普段みんな内階段を使用するので、ここは絶対に人が来ない場所だ。


だが念のため上にも下にも人影がいないのを確認すると、私は陽介の腕を握る手にグッと力を込めた。



「あの、陽介……」


「倉橋君と、花火。行ったんだって?」


「うん、あの、そうなんだけど……」


やっぱり――この話は陽介の耳にも入っていたんだ……。



陽介は私の方に体を向けることもなく、手摺りに手をかけて良く晴れた空に目を向けていた。


陽介にかけた手は振り解かれはしないものの構われることはなく、宙ぶらりんに浮いたままになっている様が何だか寂しい。



「別に。言い訳とかする必要、ないから。そもそも俺には何も言う権利はないし」


「違うの、陽介……私は……」


そう言いかけ、キュッと唇を噛んだ。



何が違うんだろう、倉橋君と花火を見に行ったことは紛れもない事実だ。


でも、私はただの友人……というか、職場の同僚として一緒に行っただけで、それ以外に他意は何もない。
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