ランデヴー
「え、いや……だって。こんなに社内中の噂になったら、倉橋君だって困るでしょう?」


「俺は別に困りませんよ。ただ……坂下さんに迷惑をかけて申し訳ないって気持ちはありますけど……」


「別に……それは倉橋君のせいじゃないって、さっきも言ったじゃん」



私は別に、倉橋君を責めている訳ではないのだ。


ただ、自分が間違った選択をしてしまったことを悔いているだけなのに。



「だったら。そんな後悔してるみたいなこと言わないで下さい。俺は行かなければ良かったなんて、思ってないです」


倉橋君は尚も不機嫌そうに、私に言う。



確かに一緒に行った相手に「行くべきじゃなかった」なんて言うのは、失礼かもしれない。


私は反省しつつも、心の中に拭えない後悔が残っているのは確かだった。



「でもさ、何も私とじゃなくても……前田さんに誘われてたんだったら、彼女と一緒に行けば良かったのに」


私のこの言葉を聞いた途端、倉橋君の口元にニヤリと嘲笑するような笑みが浮かぶ。
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