ランデヴー
「え、カフェテリア、ですか……?」
エレベーターに乗って18Fを押した私の背中から、少し戸惑ったような倉橋君の声が聞こえた。
ハッと気付き、慌ててボタンを押し直す。
私達が今向かおうとしているのは、15Fの会議室だったはず。
「ごめん……」
「いえ……」
今日の私は、なんとなくこんな調子だった。
心ここにあらず、というか……そんな私を見抜いているかのような倉橋君に突っ込まれるのは、これで何度目になるだろうか。
間違いを指摘する度に何か言いたげに向けられる倉橋君の視線を、私は無視し続けていた。
私と倉橋君が付き合っているという噂は、数日が経った今、収束へと向かっていた。
それは私が興味本位で聞かれる度に「違う」と否定したからであり、更には小原さんのお陰でもあると思う。
そして恐らく、前田さんもこの火消しに一役買っていると思われた。
彼女はあの後も変わらず倉橋君の席に、巻き髪を弾ませながらやって来る。