ランデヴー
だって、倉橋君からはそんな浮ついた所は1ミリたりとも感じられない。



「俺のこと、もっと知りたくなりました?」


からかうように再び顔を覗き込む倉橋君に驚き、私は椅子ごと更に後ろへと身を引いた。



「ならないよ、ならない! もういいから……」


慌てて両手をブンブンと振って否定する私に、倉橋君は憂いを含んだ瞳でクスリと笑って見せる。



あぁ、また人をドキドキさせる笑顔……世の中にいるどれ程の女の人がこの微笑みに落ちるんだろう、なんてくだらないことを考えてしまう。



「あの日のことは……確かに俺が悪かったと思ってます。強引なことしてごめんなさい」


急に姿勢を正してペコリと頭を下げる倉橋君に、今更謝られても……と、私は眉を潜めた。


だいたい謝られたところで、起こった事実は変わらない。



「でも――あれは、坂下さんも多少は悪いと思いますよ?」


「……は? え、私が? 何で?」



謝罪から一転、何故か責められる事態になり、私は一瞬ぽかんとしてしまった。


まさかあの件でそんなことを言われることになるなんて、もちろん思うはずもないからだ。
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