ランデヴー





車が私の住むマンションの横に付けられてギッと陽介がサイドブレーキを引くと、本当に今日が終わってしまうんだなぁと実感すると同時に、酷い喪失感に襲われる。


私はしばらく動くことができずに呆然と座ったままだったが、重い手を動かしてのろのろとシートベルトを外した。


カチャリ、と渇いた音が響き、それがやけに私の心を切なくさせる。



「陽介、今日は本当に有り難う。運転、疲れたでしょう? ゆっくり休んでね」


私は精一杯の作り笑顔を陽介に向けた。



最後は笑顔で別れたかったから。


陽介にも、笑顔で見送ってもらいたい。



それなのに陽介はサイドブレーキを握ったまま、そして反対の手はハンドルにかけたままで俯いていた。


しばしの沈黙がその場に流れる。



どうしても最後の別れがしたくて「陽介」と呼びかけると、彼はサイドブレーキを握っていた手を空中に彷徨わせ、突然私の腕をグッと掴んだ。
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