ランデヴー
それでも美味しそうな匂いに食欲が湧いてきた私は、素直に「いただきます」と呟いた。


スープにセットで付いてきたパンを手でちぎり、口に入れてもぐもぐと動かすと、香ばしいパンの味が口いっぱいに広がる。


久しぶりに食事を美味しいと感じたかもしれない。



「倉橋君はさ、私みたいなダメな女よりももっと似合う子が――」


「じゃぁ逆に聞きますけど」


さっきの続きをぼそぼそと続ける私を遮り、倉橋君はふてぶてしい顔で強く言い放つ。


そんな倉橋君に、頭の中を思い切り嫌な予感がかすめて通り過ぎて行く。



私は慌てて「ちょっと待って!」と手のひらを前に突き出し、ストップのジェスチャーをした。



「何ですか?」


「それ以上言ったら、ご飯食べるのやめるから」


私の言葉に倉橋君は一瞬きょとんとした顔をしていたが、その後に「はぁー」と盛大な溜息を吐いた。
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